Chaos;HAED NOAH、Steins;Gateの話
たぶんネタバレがあります。
陰謀は好きですか。僕は大好きです。
「科学アドベンチャー」シリーズとして発売されているこの二作品、確かにSF的ではあるのだが、どういうわけか凄まじいまでの陰謀論的世界観が構築されている。
ちょうど去年の今頃だっただろうか。XBOX360のゲームソフト、シュタインズゲートが面白いとネットで話題になっていた。物語はタイムマシンものの王道SFということで、そいつは面白そうだとさっそく購入してやってみた。面白かった。じゃあ前作のカオスヘッドもやってみるか、と思いプレイしてみると、こいつがすごかった。
物語としてはシュタインズゲートのほうが面白い、だけどカオスヘッドは登場する要素の数々、陰謀論的、パラノイア的なガジェットがとても面白いのだ。
カオスヘッドの主人公、西條拓巳(にしじょうたくみ)はやたら病的な性格で、自分は誰かに見られているのではないかとか、自分は殺人鬼に追われているのではないかといった妄想にとらわれている。その妄想が物語の重要な要素で、後々いろいろな謎が明らかになるにつれ意味を持ってくる。
そこでシュタインズゲートだ。よくよく思い出してみると、このゲームのシチュエーションもなかなか病的なところがあったような気がするのだ。主人公の岡部倫太郎は、メールを過去に送れるタイムマシンを偶然作ってしまったことから陰謀組織の謀略に巻き込まれていく。そもそもの始まりはそのメールを盗聴されていたこと(エシュロンで!)で、さらには組織から派遣されてきたエージェントたちに追跡・監視され、とうとう事件に巻き込まれることになる。いかにもパラノイア的なシチュエーションだ。
そんな二つの作品に登場する怪しげなガジェットを、いちいち解説していこうと思う。
・カオスヘッドのガジェット解説
舞台は渋谷。このシリーズはどれも架空の場所ではなく実在の都市が舞台になっていて、いかにも事件が起こりそうな場所がうまく選択されている。
黒幕は陰謀論ではおなじみの300人委員会だ。そのうちの二人(政治家と教祖、実は委員会に踊らされているだけ)がとある大企業の社長(野呂瀬玄一)を操り、陰謀の計画を進めている。
この物語には「ギガロマニアックス」という特殊な能力を持つ人物たちが登場する。彼らは妄想を現実のように共有し認識することができ、さらにそれを現実化(リアルブート)することができる力を持っていて、その力で生み出した「ディソード」と呼ばれる特殊な剣で戦ったりする。この仕組みはおなじみの脳科学や量子論を使って説明されている。基本的には「見ているものが現実になる」という感じだ。
ちなみにギガロマニアックスには他人の思考を知ることができる力もあって、これは「思考盗撮」といういかにもな名前で呼ばれている。熱い。
このギガロマニアックスのリアルブート能力を科学的に発現させる機械を作り、世界をディストピア(!)化するというのが野呂瀬の目的だ。
その機械の端末となる洗脳装置も登場する。通信兵のリュックみたいな外観をしていてこれがかっこいい。その装置で映像パルスを飛ばし人々を洗脳してしまうのだ。やることがいちいちステレオタイプな陰謀像で面白い。
舞台が渋谷なのはGEレートという重力の異常値が関係しており、その数値が高いとパルスの影響力が大きいのだという。ちなみにGEレートが高いと地震が起きやすく、そこから事件の黒幕に近づいていくキャラも登場する。パルス、地震予知といかにも疑似科学っぽくてたまらない。
だいたいこんな感じのうさんくさい要素がたくさん登場する。そこがこのゲームの魅力だ。
・シュタインズゲートのガジェット解説
今度は秋葉原が舞台だ。前回の渋谷といい、フィクションとしてのイメージが強い街だと思う。実物を知っているかどうかよりも、どういう位置づけの土地なのか知っていることにその強さがあるのかもしれない。
物語はタイムマシンで過去に送ったメールをエシュロンで傍受されるところから動き出す。カオスヘッドで陰謀論に興味を持つまで、まさかこれが本当にある陰謀論だとは思わなかった。
今回の悪役はまたもや300人委員会と、その息が掛かったSERNという科学研究組織だ。実在するCERN(欧州原子核研究機構)という組織が元ネタで、LHC(大型ハドロン衝突型加速器)も実際に作られている。これで小さいブラックホール作る実験するから地球滅ぶかも、みたいな終末論が話題になったのは記憶に新しい。
未来からやってきたというジョン・タイターがネットに現れたのも実際にあったことで、未来のことを書いて予言者扱いされていたらしい。雑誌「ムー」に取り上げられたりと、わりと話題になったようだ。
主人公・岡部倫太郎はSERNにタイムマシンを奪われないため、メールだけでなく記憶まで送信できるように助手とタイムマシンを改良する。やはりおなじみの脳科学と量子論を応用した技術によって、それは完成する。
ちなみに、SERNがたくらんでいるのはやはりディストピアだ。僕も好きです、ディストピア。
こちらはカオスヘッドに比べて、うさんくささよりもやや説得力のあるような要素がメインとなっている。しかし陰謀は相変わらずなので、次作にも期待したい。
この「科学アドベンチャー」シリーズ、もしかすると「陰謀アドベンチャー」シリーズでもあるのかもしれない。われわれの暮らす世の中の裏側、病的で胡散臭い陰謀の世界が両方とも舞台だ。年内には新作「Robotics;Notes」が発売する。また陰謀の話であってほしい。