「ひぐらしのなく頃に」推理一人大反省会 (ネタバレ注意)
「ひぐらしのなく頃に」「ひぐらしのなく頃に解」のネタバレがあります。まだプレイしていない方は読まないほうがいいのです。前回にやった推理をふまえての文章です。
・完敗
ドスを振りかざして挑んだらミサイル撃たれた。だいたいそんな感じだ。この戦いには二つの敗北がある。一つは推理が壊滅的なくらい外れていたこと。もう一つはその回答が俺の推理の八千倍くらいすごかったこと。そして二つの敗因がある。虎を捕まえるのに地引き網を用いたこと、つまり推理方法を誤ったこと。そして、虎を捕まえるのだとわかっていたこと。
・どこが違っていたか
当然ながら園崎家周辺を疑ったのは間違いだった。これがミスディレクションというものなのか。前回の推理を見てみるとどうも俺は陰謀のありかをヤクザのせいにしたかったようだ。ギャング映画の見過ぎである。それから俺は物語にヤクザが出てくると興奮してしまうというどうしようもない性癖があるのでついそこばかり勘繰ってしまったのだ。前回も言ったが、ヤクザが出てくる話はだいたい面白い。解でも葛西さんが活躍してくれたのでとても満足である(というか祭囃し編は大人組がかっこよすぎた。鼻血ものだ)。しかし前回の推理において園崎家黒幕説は確信しきれていない。これは鬼隠し編での圭一の状態があまりにも疑心暗鬼というかステレオタイプなパラノイアっぽい状態にあったため、もしかしたら陰謀が存在するというのは引っかけじゃないかという気がしていたからだ。そこで個別犯行説を考えてみたのだが、これが敗北の大きな原因であった。確かに個別の犯行もあったが、その裏にある陰謀を完全に見失ってしまったのだ。こうして二重にミスを犯してしまった結果がこれである。ウギャア。
・鬼隠し編の間違い
当たっているようで全然当たっていないぞ。どういうことだ。圭一の疑心暗鬼は確信しているくせに犯人像がまったく特定できていないぞ。あの注射が雛見沢症候群の治療薬というところはわからなくても、せめて鎮静剤くらいは考えるべきだったのだ。うまいこと引っかかってしまった。富竹さんの死が薬物によるものだったということが俺まで疑心暗鬼にしてしまったのだ……これにはもう参りましたという他ない。それから一応雛見沢症候群の片鱗のようなものは掴んでいるが、まさか原因が村社会による精神的なものでなく物理的なものだとは思いも寄らなかった。完全にミステリ小説的な推理法だったのがいけなかったのだ。この先入観をどっかにぶん投げていれば、鬼隠し編は少しは正答ができたかもしれない。
それから圭一の思考に合わせてみても、同じような状態にあったレナがの妄想が事実に近かったようにある程度は当てることができるんだよな。これは今回の反省会における山場の一つなのだが、陰謀論的推理法というのを解をやっている最中に思いついたのでここに記す。まず犯行があったらそれは組織的陰謀である。盗聴や監視をほのめかすシーンがあったらそれは事実である。何らかの組織によって見張られている。視線を感じるのは気のせいではなく陰謀組織による集団ストーカーの仕業で、追われている気がするならそいつらの仕業だ。何らかの目的で諜報員が動いているのだ。身近な人物の中にも敵は潜んでいるぞ。そいつ”も”犯人だ。陰謀組織は国家に影響を与えるほどの強力な存在だ。何か怪しげな兵器を開発している可能性もあるので注意しろ。といういかにも陰謀論者的な推理方法である。これで推理するとひぐらしなら伏線をかなり当てられるのではないか。他にもこれで当てられる作品があったら教えて欲しい。ちなみにそんな作品は他に二つしか知らない。
・綿流し編の間違い
これはもう残念と言うほかない。目の前に双子が転がっていたらああこいつらは入れ替わるなと思っておくべきなのだ。そうでなくても三つ子説くらいは思いついておくべきであった。とにかく入れ替わりを疑えなかったことと、その入れ替わりを疑えさせなくなる手口(最後の地下牢のシーン)にまんまと引っかかってしまったのが敗因なのである。それから祭具殿の物音の原因は気合いで当てろ。ちなみに綿流し編はほとんど推理小説的な推理の仕方で当てることが出来るはずなのだがそれでも当たっていないのでもうこれは脳がうんちとしか言いようがない。
・祟殺し編の間違い
ほとんどまちがっている。ビックリするくらいまちがっている。もうだめだ。これは推理のやり方を間違えたとしか言いようがない。うんちである。あと「村を全滅させるなら化学兵器と相場が決まっている」って微妙なとこだけカスっていやがる。ガスのくだりも惜しかったな。ここだけかすれたのは明確な理由があるのだけどそれはあとで。
・暇潰し編の間違い
あってる気がするじゃねーかどういうことだ!!他の三つが十点くらいならこれにだけ五十点はくれてやってもいいくらいだ。この暇潰し編の推理は梨花の予言がさっぱりわからなくて開き直った結果のものだというのに!なんてこった!
山人族の末裔とスパイと超能力者のくだりは本当に惜しかったな。どれも微妙にずれているし、当たっている気がするスパイというのは本物の諜報員じゃなくて園崎家の配下の者という予想だったのでハズレである。この三つは字面だけ見ればほぼ完璧だったんだが、気合いが足りなかった。くうう。
・どうすればよかったか
ここがキモである。まず、これはミステリものだという先入観があった。だがそれは少し違う。最初にこれに気づいていたじゃないか。これを一番気にしていたじゃないか。そう、これは、伝奇だ。血と偽史の物語なのだ。
というのもこのゲームを進めている合間に、同時に笠井潔の「ヴァンパイヤー戦争」シリーズを読んでいて思ったのだ。この二つは全く違う物語だがどこか似ているところがある。その共通点こそが伝奇の要素だったのだ。
そうして見ると謎を解くことができる。ミステリという面からだけでは気づけないことに気づくことができる。まず「血」だ。梨花がオヤシロ様の血を引いていること、つまり超常的な存在、鬼そのものの血を引いていることを伝奇の観点から見れば当てることができたはずなのだ。ある人物の出自が超常的な存在の家系だというのは伝奇の核と言っても過言ではない要素だ。そして伝奇にはもう一つ核がある。「偽史」だ。ひぐらしにおいて「偽史」を作り出しているのは何か。そう、雛見沢症候群である。これが盧溝橋事件を引き起こした可能性があるということが語られたとき、俺はすこぶる興奮した。ちょっとやそっとではない。すこぶるである。ここで確信したのだ。これが伝奇、血と偽史の物語なのだと。そして「偽史」には実際の歴史を紡ぐ存在、国家が欠かせない。伝奇とは常に歴史と隣り合わせの物語だ。だから国家という存在が絡んでくるのは他の伝奇から類推することができたはずなのである。つまり陰謀の黒幕がいて、国家に繋がっているというのは思いつけたことなのである。
そしてスパイだ。俺はこれが出てくると奇声を出して喜ぶほど好きだ。このスパイというのも伝奇につきものの存在なのだ。伝奇はアウトローの物語でもある。歴史の裏で暗躍する存在たち、忍者、魔術師、暗殺者、ヤクザ、そしてスパイ。彼らは伝奇に欠かせない存在である。法の裏側から歴史を動かすため戦うものたち。そいつらの中で最も今回の陰謀に深く関われるのは誰か。そう、スパイだ。だからヤクザの他に国家から派遣されたスパイの存在も予想がついたはずだったのだ。
「血」「偽史」「国家」「スパイ」の存在。この四つはミステリ的にではなく伝奇的に推理していれば絶対に当てられた。これが今回の反省会における最も反省すべき点なのだ。惜しかったな、伝奇のにおいは嗅ぎつけておきながらあと一歩が足りなかった!!そこに踏み込むだけの気合いが!足りなかったのだ!
そして次に挙げるのは、伝奇的観点から見れば当てられた”かもしれない”要素たちである。まずは「感染」。吸血鬼や生ける屍といった超常的な存在はしばしば「感染」によって数を増やす。それならば雛見沢症候群によって異常をきたし、伝承にある鬼の血を発露させてしまう登場人物達に「感染」が起こっていたことは当てられた可能性がある。たぶんある。少しくらいはある。そこから寄生虫までとはいかなくともウィルスや細菌の存在を予想することができたかもしれない。
次に「フィクサー」。政治を影で牛耳るものたちは正当でない歴史を紡ぐ伝奇には欠かせないのである。「甲賀忍法帳」における阿福、「ヴァンパイヤー戦争」における夢堂などがその例にあげられる。そこから類推すれば雛見沢の陰謀に荷担しているフィクサー、小泉や野村の存在は当てることができたかもしれない。ちなみに俺は物語にフィクサーが登場するとスパイのときほどではないが鼻息を荒くして喜ぶのでじゃんじゃん出てきてほしい要素の一つである。
当てられたかもしれないのはこんなところか。ちなみにこのやりかただと人物の心情がかなりおざなりになるので動機や意志を当てることは難しかったと思う。それはまあ普通に考えるのも難しいか。あと伝奇に欠かせない要素の一つに「大量死」ってのがあるような気がする。これは祟殺し編で出てくるので推理する必要はなかった。ちなみに「村を全滅させるなら化学兵器と相場が決まっている」と断言したのは「ヴァンパイヤー戦争」からの類推だ。この作品にも村が全滅させられるシーンがあって、祟殺し編をやっているとき、なんだか描写が似てるなーと思ったから言いはなっただけであり完全に勘である。
・というわけで
推理のカギは伝奇にあった!ということです。そこを軽んじたことがこんかいの反省点だ。こいつを最初に予見しておきながらスルーしたのはあまりにもったいなかった。だから皆殺し編で謎が明るみに出てきたときに、たまらん、これはたまらん、俺の大好きな伝奇が、うひょうマジでたまんねえと狂喜したのだ。正直言ってこのゲームは好きなものが出てきすぎた。キャラクターも、話の展開も、登場する要素も、みんな好きだったしみんなクソ面白すぎた。このゲームに出会えた俺は本当に運がいい。というわけで、出会わせてくれた方々へ感謝の言葉でこの反省会を終わりにする。ありがとうございました。